音のタイムマシンと、ある夜の「最高の笑顔」について
- ushunphoto
- 5月21日
- 読了時間: 3分

年をとると、1年がどんどん早く感じるようになる。
子どもの頃はあんなに長かった1年が、大人になると驚くほどのスピードで daily のカレンダーをめくっていく。
「気づけばもう5月下旬か」なんて、
毎年のように同じセリフを呟いている気がする。
だけど最近、人間の脳や心って本当に面白いなと思う瞬間がある。
ときどき、頭の中でふとある曲が流れる。
リアルタイムで聴いていた、学生だった当時の音楽だ。
その音が鳴り響いた瞬間、僕の心は一瞬で時間を飛び越えていく。
写真や映像を見返すのとはわけが違う。五感のすべてがごそっと引き戻されるような、生々しいタイムトラベルだ。
イントロの1音、コードの響きとともに、当時の教室の空気、窓から見えた景色、くだらないことで笑い合っていた仲間の顔が、信じられないくらい鮮明に思い出される。(もちろんみんな若いままだ。)
不思議で仕方がない。
もう十分に年齢を重ねたはずなのに、その瞬間、僕の体も心も、当時のジリジリするような熱量やエネルギーに、一瞬で100%染まってしまうのだ。
普段は大人の役割や日常の忙しさに隠れているけれど、あの頃のピュアなエネルギーは消えてしまったわけじゃない。
ずっと心の奥底に、当時のままの形でストックされている。
そして、音楽という鍵がカチッとハマった瞬間に、いつでも僕たちを「あの頃のプレイヤー」に戻してくれるんだ。
先日、そんな「音楽の魔法」をそのまま形にしたような、最高の瞬間に出会った。
一人のじいさんがマイクの前で歌っていた。

ぶっちゃけ、歌は全然上手くない(笑)。
技術的にどうこうと言えば、ツッコミどころはあるのかもしれない。
でも、この顔を見て。
めちゃくちゃ幸せそうで本当に楽しそうだ。
ぎゅっと目を閉じて、自分の中に流れる音に体ごと没頭している。
これまでどんな人生を歩んできて、どんな経験を重ねてきたのか。
刻まれたシワの深さが、その男の背負ってきた時間を物語っているけれど、今この瞬間の彼は、まるで少年のように無邪気なエネルギーに満ちあふれている。
上手いか下手か、なんていう次元はとっくに超越している。
「今、ここで音を鳴らして、歌っていること」そのものが、彼の人生の深みと完全にシンクロして、言葉にできない説得力になって迫ってくる。
音楽がタイムマシンになって、僕たちをあの頃の熱量に染めてくれるように。
彼もきっと、マイクの前で自分だけの眩しい時間の中に生きているのだと思う。その奥の深さがたまらなく愛おしくて、素敵だ。
綺麗に整ったものや完璧な技術だけが心を震わせるわけじゃない。
人間の泥臭さ、生きてきた軌跡、そして音楽を愛する純粋な心。
それらが弾けた瞬間の「人間の顔」が、僕はたまらなく好きだ。
僕等の1年はこれからますます早く過ぎ去っていくだろう。
頭の中のタイムマシンを鳴らしながら、こんな風にいつでも当時の純粋なエネルギーに心を染められる人間でありたいと思う。



コメント